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ぼたんえびの雑記

クラシック音楽を中心に適当な事をだべるサイトです。どうか気軽にお読みくださいm(_ _)m

ムラヴィンスキー

指揮者

クラシック音楽とは基本美しいものであり、多くの音楽家たちは音楽的な要素以外に音色や響きも大変気にするものだ。多少演奏が荒くなっても、美しいハーモニーは崩さず良い音を奏でるのが音楽家というものであろう。だがしかし、

 表面的な美しさを求めないうえに、普通の表現では満足できなかったのか、一線を超えてしまったヤバイ方々が音楽界には、いる。

 

そういったヤバイ方々といえば、指揮者エフゲニー・ムラヴィンスキー(1903〜1988)と、彼と50年ともに音楽を奏で続けたレニングラードフィルハーモニー交響楽団のコンビがいた

 

まず彼らが交響曲の多くを初演したショスタコーヴィチあたりの録音を聴いてみてすぐにわかるのは、異常な緊迫感と、厳しさである。テンポは速く、鋭い音色の弦楽器が一糸乱れずに刻む音を聴くと、軍隊の行進を連想してしまうのは私だけではないだろう。金切り声のような金管楽器やそれに同調するかのような荒々しい打楽器群、冴え冴えとした木管楽器…冷戦時代のソヴィエトの恐怖政治を思わせるような音楽。単刀直入に言うと寒気がする。何より、通常のオーケストラ演奏を基準とすると

 

全然美しくない笑。

 

慣れればこれはこれで充分に美しさを堪能できるし、独特ではあるがやはりハーモニーはちゃんと存在するのだが、やはり他のオケや指揮者の演奏とは明らかに異質である。

 

だが、彼らの来日時に演奏を聴いた人々はこの美しくない演奏に感動してしまったというのだから、音楽というものは美しさ以外に大事な物が存在しているのだろう。

 

私の(てか、ほとんどの人はそうだろう)ムラヴィン&レニフィルとの出会いは、ドイツグラモフォンのチャイコフスキー交響曲4〜6番。超有名な録音で、いまだに決定盤だの何だのと言われているのだが、1曲ごとはともかく、3曲を総合的に見て私はそれを全面的に支持する。

 

チャイコフスキーの4番冒頭。切り裂き魔か何かが襲いかかってくるような壮絶な音に

チビりそうになった15才のあの頃。

第2楽章、本来は消え入るように演奏されるはずのチェロのパートソロはめちゃんこに歌いまくるわ、3楽章のピッツィカートは超理路整然としてるわ、4楽章はサーカス状態だわで、ムラヴィンスキーとの出会いは超強烈で忘れられないものになった。

5、6番も同じようなもので、ギリギリと締め付けられるような緊張感から肺腑をえぐるような音が聴ける。歌うところは速いテンポの中でも違和感なく歌いまくり。必聴だ。

(5番に関しては、73年本拠地ライブが演奏録音総合1位。演奏だけなら77年日本ライブが最高。)

 

問題はムラヴィン&レニフィル、このチャイコフスキー以外にマトモな録音がほとんど存在しない。号泣。

とりあえず前述のショスタコーヴィチ。5番はアルトゥスの来日時のライブが残っており、録音の良さがドイツグラモフォンに比肩する唯一の存在。6番、8番、10番、12番、15番はステレオがあるのであまり抵抗なく聴ける。

6番は完璧。カラヤンがそう言ったそうだが、まさに完璧としか言いようがない完成度。

 

8番は晩年のライブがかなり録音良好、最恐にして、最凶とはこの録音のためにある言葉。本当にライブなのか、いくら戦争音楽だからといっても熱気というものを一切感じることができない、笑顔を忘れた人間による戦慄の演奏である。

 

同時期、ムラヴィンスキーおじちゃんはくるみ割り人形組曲(彼オリジナル)にて、普段あまり見せない柔和な表情を見せてくれる。

特にパ・ド・ドゥが感涙もの。ハープのアルペジオから慈しむように曲が始まり、G durの音階をチェロが奏でる。

チェロのメロディーの最初の音の出る瞬間!

万感の思いを込めて…一瞬のタメが入る。

上手い!

日頃のつっけんどんなムラヴィンおじちゃんを知っているだけに涙が出そうになる箇所である。終曲のワルツは、絶対に届かない高貴な頂きに手を伸ばすような趣きがあり、切ない。

 

ロシアものばかり取り上げたが意外とドイツ物も多く演奏していて、ベートーヴェンブラームスの4番や未完成は名演奏&録音がマシ。

65年と72年のモスクワライブにも録音が良好なものがあり、ルスランとリュドミラ序曲など、ニコニコ動画でめっちゃコメントがつきそうな超スピード&激烈演奏で有名。オネゲルヒンデミットバルトークの弦チェレもバッサバッサなぎ倒すような鬼演奏。モーツァルトの39番はまさに結晶のような響きの研ぎ澄まされた演奏。3楽章のクラリネットソロの超ピアニッシモは鳥肌モノ。ムラヴィンスキー本人も好きだったというフランチェスカ・ダ・リミニについても語りたいが長くなるのでここでは我慢我慢。

 

それにしても、録音の悪さを度外視すればいくらでも良い演奏があるのだが、やっぱり録音の良し悪しに勝るものはないので、本当にもったいないと感じる。おのれソ連(怒)。

 

 

 

 

 

 

 

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